電気安全試験
機械製品や産業用電気機器における電気安全規格は、製品の使用中に人や設備を感電などの電気的リスクから保護し、適切な安全性を確保するために設けられています。国際的に認知されている主な規格としては、EN 60204-1が中心的な位置を占めますが、他にもさまざまな国際規格や国別規則が存在します。弊社では、機械類やコンポーネント、測定機器、家電などの製品に対する各規則で要求される電気安全試験の実施をオンサイト・ラボ試験の双方でご提供いたします。
以下は電気安全試験を実施する際に要求される代表的な国際規格です。
EN 60204-1 機械の電気装置の安全規格 (欧州連合:CEマーキング 他)
EN 60204-1は、「機械の電気装置 - 第1部:一般要求事項」というタイトルで、機械装置に使われる電気装置や制御装置の設計・施工・保守等に関する安全要求を規定しています。これは、IEC 60204-1をベースに微修正を加えた欧州規格です(日本ではIEC版をベースにJIS B 9960-1として整合化されています)。主に機械の操作や感電等の電気的なリスクを最小限に抑えることを目的としています。
- 電源のスイッチング機能や電源回路の保護
- 安全な停止機構(非常停止を含む)
- 保護ボンディング回路による保護(アース接続)
- 表示による保護
- 実機試験(保護導通試験、絶縁抵抗試験、安全機能試験 etc.)
本規格は機械類のCEマーキングを行う際には必須の要件であり、機械指令(2006/42/EC)へ準拠する際には同規格に基づき電気安全側面の準拠が必須です。
韓国KCsマーク、semiなどでも同規格への準拠が(同等性も含め)要求されます。
通常、試験はドキュメント(図面や取説)査定、実機査定(設計状態の確認)、実機試験(絶縁抵抗試験、保護導通試験、機能試験 etc.) にて実施します。
NRTL認証/Field Evaluation (米国:NRTL認証等)
米国市場へ機械製品を出荷する場合、NRTL認証やField Evaluation、Batch Listingなどの認証制度が適用されます(通例どのスキームを選択するかは任意ですが、出荷形態などにより吟味する必要があります)。スキームや製品種、設置環境などにも依存しますが工業環境で稼働する機械設備類に対しては一般的に以下のような規格への準拠が要求されます。
UL508(産業用制御機器)
- 産業用制御機器の安全要件を定めた規格です。具体的には、リレー、スイッチ、プログラマブルコントローラー、モーターコントローラーなどの個々の制御機器が対象とし、これらの機器が安全に設計・製造されていることを保証するための基準であり、機器単体の認証に使用されます。
- UL508に適合した機器は、制御盤内に組み込まれ、UL508Aの要件に従って使用されます。
UL508A(産業用制御盤)
- 産業用制御盤の設計、構成、および安全性に関する基準を提供する規格です。制御盤内の機器配置、配線方法、SCCR(短絡電流定格の計算)などが含まれます。制御盤の安全性を確保するための規格です。
- 制御盤内に使用される機器は、UL508などの適切な規格に適合している必要があります。UL508Aは、これらの機器を組み合わせた制御盤全体の安全性を評価します。
NFPA70(全米電気コード、NEC)
- 通称NEC(National Electrical Code)は、米国における電気設備の設置基準を定めた規格です。電気配線、接地、過電流保護など、電気設備の設置と使用に関する包括的な要件を提供します。米国内での電気設備の設置に法的拘束力を持つ基準であり、建築物や産業施設での電気工事に適用されます。
- 機械や制御盤の設置は、NFPA70の要件に従う必要があります。設備が安全に運用されるための基本的な基準となります。
NFPA79(産業用機械の電気規格)
- 産業用機械の電気システムに関する安全基準を提供する規格です。機械内部の配線方法、制御回路の設計、緊急停止機能、保護装置などが対象です。機械そのものの電気的安全性を確保するための規格であり、設計者や製造者が機械を安全に構築するための指針となります。
- 機械内部の電気システム設計がNFPA70と整合性を持つことを要求します。また、制御盤(UL508A)や機器(UL508)も、この規格の要件に適合する必要があります。
各規格の関係性
- UL508とUL508Aは、産業用制御機器と制御盤に関する規格であり、UL508は個々の機器、UL508Aはそれらを組み合わせた制御盤全体を対象としています。
- NFPA70(NEC)は、電気設備の設置と使用に関する包括的な基準であり、機械や制御盤の設置に関する基準となります。
- NFPA79は、産業用機械の内部電気システムに焦点を当てており、機械の設計と製造が安全基準を満たすようにします。NFPA70と連携して機械全体の安全性を高めます。
電気安全規格の位置づけと各国規制の関係
各国では電気安全規格が製品安全法規において重要な側面となっており、機械製品や電気機器が市場に投入される際には上記を代表例として、製品に基づく規格に適合することが求められます。特に国際的な市場において代表的な規格がIEC 60204-1で、これに準拠することが各国の安全規制を満たすための手段として機能しており、EN、UL、JIS、KCなどの各規格も、それぞれの国や地域での規制に基づいた形で運用されています。ただし、各国の規則により独自の基準を要求する場合もありますので注意が必要です。
電気安全の側面では、主に以下のポイントが強調されています:
- 感電防止:人や設備が不意に電気的な接触を受けるリスクを低減する。
- 過電流保護:ショートや過負荷時にシステムを安全に停止させるメカニズムの確保。
- 非常停止:緊急時に迅速に機械を停止できるスイッチや回路の設置。
- アース接続と絶縁:電気系統のアースや絶縁対策によるリスクの管理。
このように、各国の製品安全法規の中で電気安全規格が位置づけられており、規格に準拠することで、各国での法的な要求を満たす製品を設計・製造することが可能です。
弊社実績
SAFTEXでは、これらの規格試験の豊富な実績があります。貴社製品にどのような評価が必要か、状況ヒアリングのうえでプランニングいたします。