欧州CEマーキング
欧州市場において製品を流通させる場合、製品にCEマーキングを貼付することが法的に義務付けられています。
同圏内の消費者にとっては画一的な高い水準の安全性を享受でき、製造者(販売者)は製品にCEマーキングを貼付することで欧州市場内での自由な販売が可能となります。
対象国
枠組み | 対象国 | |
---|---|---|
EEA | EU | アイルランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシャ、クロアチア、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ルクセンブルク |
EEA | EFTA | アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー |
その他 | EFTA | スイス |
その他 | トルコ、英国 |
- EU:全27か国
- 欧州経済領域(EEA):アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー
- 欧州自由貿易連合(EFTA):上記三か国+スイス
- トルコはEU、EEA、EFTAいずれの加盟国でもないが、独自にCEマーキングを要求している。
- イギリスは2020年にEUを脱退後、独自制度となるUKCAマーキングへの移行を計画していたが2023年8月に大半の製品カテゴリのCEマーキングも無期限で認める旨を発表した。その後も、段階的に受け入れ範囲を拡大している。
- イギリス=イングランド、ウェールズ、スコットランドを指す。北アイルランドでは原則CEマーキングを採用し一部製品のみUKNIマーキングを要求する。
CEマーキング指令/規則
現在、以下の26の指令及び規則が施行されています。
# | 指令/規則 | 正式名称(番号) | 代表的な対象条件 |
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1 | 機械指令 Machinery Directive (MD) | 2006/42/EC | 駆動部を伴う機器 |
2 | 低電圧指令 Low voltage Directive(LVD) | 2014/35/EU | DC50-1000V若しくはAC75-1500Vで動作する電気機器 |
3 | EMC指令 Electromagnetic compatability Directive(EMCD) | 2014/30/EU | 電磁波を発生し又は影響を受ける可能性のある電気機器 |
4 | エコデザイン指令 Ecodesign of energy related products(ErPD) | 2009/125/EC | エネルギー関連製品 |
5 | 圧力機器指令 Pressure equipment directive (PED) | 2014/68/EU | 最大許容圧が0.5バール以上の圧力機器や圧力アセンブリ |
6 | 単純圧力容器指令 Simple pressure vessel directive (SPVD) | 2014/29/EU | 最大使用圧が0.5bar以上の単純な圧力容器 |
7 | 医療機器規則 Active implantable medical devices(MDR) | (EU) 2017/745 | 医療行為若しくは人体機能補助を目的とした製品 |
8 | 体外診断用医療機器規則 In vitro diagnostic medical devices | (EU) 2017/746 | インビトロ検査関連製品 |
10 | ガス機器規則 Gas appliances regulation (GAR) | (EU) 2016/426 | ガスの燃焼を伴う製品 |
11 | 温水ボイラー指令 Hot water boilers | Directive 92/42/EEC | 定格出力4kW-400kWの液体若しくは気体燃料を使用する温水ボイラー |
12 | 玩具指令 Safety of toys Directive | Directive 2009/48/EC | 14歳未満の子供の遊びでの使用を目的とした玩具製品 |
13 | 防爆機器指令 Equipment for explosive atmospheres (ATEX) | Directive 2014/34/EU | 爆発性雰囲気下で使用される機器及び爆発危険性に対する保護システム |
14 | 民生用爆発物指令 Explosives for civil uses directive | Directive 2014/28/EU | 爆薬 |
15 | 建設製品規則 Construction products regulation (CPD/CPR) | (EU) 305/2011 | 建設資材 |
16 | 火工品指令 Pyrotechnics articles directive | Directive 2013/29/EU | 花火 |
17 | 屋外ノイズ指令 Noise emission in the environment | Directive 2000/14/EC | 芝刈り機、建設機械類、コンプレッサー、発電機 etc. |
18 | 昇降機指令 Lifts Directve | Directive 2014/33/EU | エレベーター etc. |
19 | ケーブルウェイ設備規則 Cableway installations Regulation | Regulation (EU) 2016/424 | ケーブルカー etc. |
20 | 非自動計量器指令 Non-automatic weighing instruments (NAWI) Directive | Directive 2014/31/EU | 商取引、薬剤、研究所での分析、罰則などを目的とした非自動式の質量測定器 |
21 | 個人用保護具規則 Personal protective equipment Regulation (PPE) | Regulation (EU) 2016/425 | 安全眼鏡、グローブ etc. |
22 | 無線機器指令 Radio Equipment Directive | Directive 2014/53/EU | Wi-Fi、Blutooth機器 etc. |
23 | レジャー用ボート指令 Recreational craft Directive | Directive 2013/53/EU | 水上バイク、プレジャーボート、船外機 etc. |
24 | RoHS指令 Restriction of Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment Directive | 2011/65/EU | 比較的小型の電気・電子機器全般 |
25 | EU肥料製品規則 EU Fertilizing Products Regulation (FPR) | Regulation (EU)2019/1069 | 農業用肥料製品 |
26 | 計量器指令 Measuring instruments Directive | Directive 2014/32/EU | 水道メーター、ガスメーターおよび体積変換装置、アクティブ電気量計、熱量計、水以外の液体の量を連続かつ動的に測定する測定システム、自動計量器、タクシーメーター、材質測定器、寸法測定器、排ガス分析計 |
指令・規則・整合規格の情報は日々更新されます。最新情報は欧州連合のHPを参照下さい。
CEマーキングのプロセス
機械・産業用機器においては、一般的に下記のようなプロセスでCEマーキングを行います。
対象製品の該当する指令・規格の決定
製品の用途・使用環境・取扱物質・構造etc.により該当する指令を決定する。
ISO12100に基づくリスクアセスメントによるリスク分析および本質的安全設計方策の決定
「リスク低減プロセス」により本質的な機械の安全設計を行う。この活動により低減しきれないリスクに対しては付加的な安全対策を行う。
ISO13849-1/-2に基づくSRP/CS(安全制御システム)の妥当性検証
リスクアセスメントで決定した安全対策に、制御システムによる安全対策を含む場合は、システムの妥当性を検証する。
該当指令・規格に基づく製品評価
該当する指令や整合規格への適合性を書類・実機などで確認する。一般的な産業機械類の場合、機械指令+EMC指令が基本となる場合が多いです。
Notified Bodyによる認証書発行(必要な場合)
危険性の高い機械類や医療機器、圧力機器など特定の条件を満たす製品はNotified Bodyの関与(認証書や監査など)を要求する場合があります。
TF(テクニカルファイル)の作成
指令や規格で要求される技術文書を作成・収集します。
CE宣言書発行
上記までのプロセスを経て全ての適合性が確認できたら、CE宣言書を発行します。CE宣言書の内容にも特定の要求があります。
欧州内での継続的対応(EU内認定代理人、TFコンパイラ、CE宣言更新 etc.)
Regulation EU 2019/1020では経済事業者や欧州内の認定代理人を要求します。
機械指令2006/42/ECではTFコンパイラ(編纂者)が要求され、10年間テクニカルファイルを欧州内で保管する必要があります。
このほか、設計変更時や該当規格・指令更新時などの場合も適切な対応が求められます。
Notified Bodyとは?
Notified Body(ノーティファイドボディ)とは、特定の製品が市場に出る前にその適合性を評価するために、EU加盟国によって指定された試験場組織です。各ノーティファイドボディは指定を受けた各法規則に基づく適合性評価手続きを中立的・公平性を持って実施します。多くの場合CEマーキングは製造者による自主的な適合性確認を前提としたスキームですが、製品の条件によってはノーティファイドボディの関与(認証書の発行や監査など)が必須のものもあります。代表的には、機械指令の付属書Ⅳにリストされている手動ローディング式のプレス機械、木工機械、PED(圧力機器指令)に該当する圧力容器で特定のカテゴリに該当するものなどがあります。
罰則など
製造者が関連法令・規格に基づく適切な対応をしていない場合、欧州市場でMarket Surveillance(市場監視当局)から不適合性を指摘されることがあります。
製造者は常に最新の法令に基づき適切な対応を行い、市場で販売を続ける限りそれらを維持することが肝要です。
- 対象製品の稼働停止・流通差し止め
- 欧州連合の公開データベース(RAPEX)での会社/製品名および不適合内容の公開
- 現地で製品に起因する事故が起きた際の訴訟
- 据付国(各EU加盟国)の法規制に基づく罰金や禁固刑などの刑罰
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初めての海外出荷案件で何をすればよい? 過去に認証・宣言を行った製品の引き合いを受けたが何をすれば? 現状の対応に問題はない? 疑問があれば、まずはお気軽にお問合せください。